めむろ国語専門塾
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小さな国語塾のつぶやき
走れメロス
太宰治の「走れメロス」をじっくりと読み返してみた。自身の読書の特徴は「読むのが速い」なのだが、今回はじっくりと一語一語味わってみた。「走れメロス」の文章の特徴として①テーマがはっきりしている(言い換えがあちこちあり、分かりやすい)②心象風景が事細かく書かれているので、情景が映像として目に浮かぶ・・・の2点があげられる。だから読んでいて気持ちが盛り上がり、とても楽しい!が、逆に言うならば、テキストやテストの題材として用いる場合に「問」を作りやすいのである。中学2年生のテスト範囲の中で、ほとんどの生徒が「走れメロス」で四苦八苦している。たとえば「おそろしく大きいもの」の言い換えを二つ答える場合、一つ目は数行後の「わけのわからぬ大きな力」とあるのでこれはOK。が、二つ目が次のページ(最終ページ)の「信実」となり、なぜこれが答え?と皆首をかしげている。が、本文全体を通してみるとあちこちに「信実」というキーワードが出ており、実はこれが小説のテーマだと分かる。現役中学生にとっては、きちんと把握するのは難しい部分もかなりあるが、自身にとっては「走れメロス」が「名作」と言われる所以を実感するよいチャンスとなった。
2015/02/15 20:41