小さな国語塾のつぶやき
つわもの
ある道で優れている人、勇気のある人、立派な人に対して「○○はつわものだなあ」ということがある。「つわもの」と聞くと「強者」という漢字を思い浮かべる人がいるかもしれないが、正式には「兵(つわもの)」。講釈本などで「強者」と書いて「つわもの」と読ませる場合があるが、あくまでそれは当て字。松尾芭蕉の俳句に次のようなものがある。「夏草や兵どもが夢の跡」(意味)人気のないところに、今はただ夏草だけが生い茂るばかりだが、ここは、かつて義経主従や藤原一族の者たちが功名・栄華を夢見たところである。知るや知らずやこの夏草を眺めていると、すべてが一炊の夢と消えた哀れさに心が誘われる。ゆめゆめ「兵」を「へい」と読まないように。
2014/11/08 08:19
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