小さな国語塾のつぶやき
春眠暁を覚えず
春を題材にした作品の中であまりにも有名なものを二つ。一つは枕草子の「春はあけぼの。やうやう白くなりゆく・・・」(春はあけ方が良い。だんだん陽が昇ってきて白くなっていく・・・。)もう一つは漢詩「春暁」の一節「春眠暁を覚えず・・・」(春は気持ちがいいので夜が明けたことに気がつかずに寝てしまっていた・・・。)個人的には「春暁」の方が好きである。それは自分が夜型人間で朝が苦手だからという主観だけではない。昔は今と違って立派な暖房設備があったわけでもなく家の造り簡素なもの、冬は寒さのあまり早朝に目が覚めてしまったに違いないと想像ができる。つまり、慣用句的に「春眠暁を覚えず」は「寝坊」と使われているが、本来は「途中目を覚ますことなくぐっすりと朝まで寝ることができる、いい季節になった」という意味だろう。そう考えると純粋に「いい季節になったという喜び」に共感を覚えるのである。
2014/03/26 02:43
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