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小さな国語塾のつぶやき

小説「棲月」

先日、警察小説「隠蔽捜査」シリーズの最新作「棲月-隠蔽捜査7-」(今野敏著 2018.2.9初版発行)を読み終えた。今年2018年、作家生活40周年を迎えられる今野氏。出身が北海道ということで親近感がわき数年前から彼の作品を読み始めたのがきっかけだが・・・ストーリはもちろんのこと登場人物の心理、人間関係相関図の微妙な描写が最高!自分は今やすっかり大ファンの一人となっている。ちなみに今野氏の小説は多数、映画化やドラマ化されている。さて、今回の新作「棲月」というタイトルを見た瞬間に「ん?月に棲む?!SFものに方向転換したの?月に棲むウサギ?!宇宙飛行士?!」と不思議だったが内容はハッカーによる犯罪の話だった。実はこのタイトルは奥様の夢がきっかけだったとか・・・。(以下、新潮社「Book Bang」より引用)【今回はまずタイトルが先にありました。実は妻が夢で、『棲月』というタイトルの本で私が賞を獲ったのを見たというんです。それを聞いて、珍しいタイトルだけど挑戦してみようかと思いました。月に棲む、というタイトルからまず初めに連想したのは「セーラームーン」。ただ、それはさすがにないだろうと。それで、次に思い浮かんだのが、「クラウド」でした。クラウド・コンピューティングはネットワークを雲に見立てたことから来た呼び名ですが、雲の上の人、すなわち月に棲む人というのをなんとなく連想したんです。そこから、ではPCやハッカーを登場させよう、と膨らんでいきました。】(引用終わり)。これを知った時に、あらゆる事象から小説のヒントを得るという心がけが素晴らしいと感じると同時に「月」「夢をヒント」という点においては昔の人となんら変わらない、日本人としての思想が今野氏の中に無意識に生きている~と一人で興奮してしまった。古来の日本では、夢は自らの将来や現実に起こることを予言するために、神仏が見せた神秘的なものと考え、恐れられてきた。そのため、特別な霊能者に夢の内容の解釈や吉凶を判断してもらう「夢解き」「夢あわせ」ということがしばしば行われていたそうだ。また月には人が棲むといえば「竹取物語」、「月」と言えば日本人にとっては趣深いもので「望月「十六夜の月」「立ち待ちの月」「居待ち月」「寝待ち付き」「更け待ち付き」などなど様々な呼び名がある。「棲月」という小説の内容は現代社会に潜む危うい暗部を書いているけれど、暗部を中和させるような素晴らしいタイトルだなあと読後さわやかな気分になった。タイトルって大切!

2018/02/18 16:31

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