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小さな国語塾のつぶやき

伝わらない日本語

「通じない日本語」(窪園晴夫著 2017.12.15初版発行)の中で面白い話題を見つけたので少し紹介する。「中には漫才のネタに使われるような混成表現もあります。 頭痛がする×頭が痛い→頭痛が痛い  やめて!×しないで!→やめないで! このような言い間違いは私たちの生活の中で日常的に作り出されるもので、聞いている人もあまり違和感なく受け入れらることが多いようです。そのためか、「汚名挽回」や「的を得た」のように多くの人に使われる混成表現もあります。」(本書P114から抜粋)。最初、この本のタイトルを見たときは「非常識な人には、何を言っても通じない」という「生き方指南」「モンスター対策のコミュニケーション術」か?となぜか、勝手に思っていたのだけれどタイトル通りのまともな?れっきとした日本語論について述べている本である。さて、先に紹介した「頭痛が痛い」という誤表現は時々耳にすることがあり、すかさず突っ込んで相手とともに大笑いしているのだけれど、「やめて×しないで→やめないで」は初めて知った誤表現。これってかなりかなりマズいよね~と個人的に思う。なぜなら「やめて」(ストップ)が「やめないで」≒「続けて」と完全に意味が反転してしい、日本語が通じないどころか逆の意思を伝えてしまうことになるから。ちなみにこういう間違いは会話のみならず文章を読むときにもよく起こり、それゆえその部分が国語では問として問われることが多い。評論文や説明文では「回りくどい言い方」が多く、「違う」といえばいいのに「同じとは言えない」などといった表現になっているのだ。そういう時は先のように「同じではない」≒「違う」、「○○とは言えない」≒○○に✖をつける」とメモ書きするように指導している。先日中学生に行った演習テキスト内の本文に「意味は伝わらない」とあり、問で「相手に(5文字抜き出し)ものではない。」とあった。この(  )に「伝わらない」と入れてしまった生徒が何人かいたけれど(「伝わらない」とぴったり5文字になるためひっかかったようだ)「伝わらない」を入れると「相手に伝わらないものではない」≒「伝わる」と意味が反転するのだ。というわけで答えは「手渡される」という5文字が正解だった。日本語は最後まできちんと読んだり聞いたりしないと間違える、言語・・・。いやはや難しいなあと改めて思う。

2018/01/25 13:50

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