めむろ国語専門塾
- ブログ
小さな国語塾のつぶやき
「字」や「名前」の持つ力
個々人の名前や商品の名前には名付ける側の様々な想いが込められており、字を見た時の印象や聞いた時の響きによって他者が何らかの印象を持つことが少なくない。また有名な文学作品や漫画における登場人物と同じ名前だと、どうしてもその既存の登場人物などの印象が強くなる。知人が自分の息子に「太郎」という字を使った名前を付けたいと希望しており、専門家に名字とのバランスの良い画数を見てほしいと依頼したところ・・・なんと「桃太郎」がいいと言われたそうだ。さすがに「桃太郎」では昔話のイメージが強すぎるため結局は画数云々をあきらめて「太郎」という名前を入れることのみを優先して自分たちで名付けたとか。ちなみに自分自身はというと仕事上では本名とは別のビジネスネームなるものを使っており、それは「出藍の誉れ」を理想としている+画数から名付けた。「出藍の誉れ」は教育関係に携わっている人ならば多かれ少なかれ、望むことだろう。ちなみに「字」や「名前」の持つ印象を生かして小説における登場人物は名付けられるのだろうけれど、人物の持つイメージに左右されたくない場合はイニシャルで著すという作家もいる。有名なのは星新一氏。作中の登場人物に多用される「エヌ氏」や「エフ氏」の名前は、星新一作品の代名詞ともいえるだろう。すべて境遇、立場などが違い同一人物ではないと考えられる。かくいう自分自身はというと書くときはもとより日常会話においてもイニシャル・トークを頻繁に行っている。あまり深く考えたことはなかったのだけれど「大人のための言い換え力」(石黒圭著 2017.12.10初版発行 NHK出版)、P109に興味深い文章を見つけたので少し紹介する。【「A先生」「某店長」などの言い方を選択するのは、第三者に聞かれた場合に困るというよりも、本名を出すと話しにくい心理的な抵抗感があり、それをイニシャル・トークにすることでその人の話題について話しやすくする効果があると考えられます。】(引用終わり)。確かにそうかもしれない・・・。別に第三者に聞かれたら困るような内容(悪口など)は基本的には言わないし・・・。たかが名前、されど名前、字や言葉の持つ力は侮れない?!
2018/01/17 15:09
-
-
コメントするには会員登録後、ログインが必要です