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小さな国語塾のつぶやき

「負け犬の遠吠え」などなど・・・

言葉の意味が時代と共に変化していくのはもちろんのこと、人間の生き方スタイルも多様化しているなああとつくづく感じる。十数年前に「負け犬の遠吠え」という酒井順子氏による随筆が大ベストセラーになり社会現象になった。それ以来「負け犬」とは「喧嘩に負けてしっぽをまいて逃げる犬。比喩的に、勝負、競争に負けてすごすごと引き下がる者。」という本来の意味に加えて「30代以上・未婚・子供のいない女性」のことをさすようになった。とはいえ「30代以上・未婚・子供のいない女性」が今の時代、「負け犬(敗者)」か?と聞かれるとNO!だろう。なぜなら生き方が多様化している今の時代「あえて結婚しない」「あえて子供を産まない」選択をしている人が増えているから。つまりは「結婚できない」のではなく「結婚しない」だけなのだ。ちなみ酒井順子氏の「負け犬の遠吠え」は未婚・子どものいない女性をあえて「負け犬と呼びつつ、自立する女たちへエールをおくる作品。また「負け犬の遠吠え」という諺の本来の意味は「弱い者が強い者の前では何も言えないが、裏では悪口をいったり、いばったりすること」を表す。つまり、時代と共に諺に意味が加わったり少しずつ変化、さらにはそれが時代とともにずれていき、今後さらなる変化をする可能性があるということ。かと思いきや昔の言い回し・意味で使われる言葉もまだまだ多く存在する。例えば「言わんとする」という表現は「言おうとしている、言い表そうとしている」などの意味になる。「言わん」は「言う」に意思や意図を表す助詞「む」が付いた語だから。漢文でよく出てくる「いかんせん」=「いかん+せん」で「どうしよう」という意味になる。でも現代語で「いかん」というと「○○してはいかん」=「○○してはダメ」という否定・禁止でも使われるため、若い子たちは当然混乱してしまう(大人もか?)。今日の中学生クラスでは長文読解のノルマ+犬に関する慣用句の説明が当初の予定より早く終わったので複数の意味を持つようになった諺、慣用句、言い回し、紛らわしい同音異義語などを練習した。未来を背負う若い子たちに少しでも日本の文化や言葉について知ってほしいなあと言う老婆心から。

2018/01/05 22:58

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