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小さな国語塾のつぶやき

「生きる」「活(い)きる」

「秀吉の活」(木下昌輝著 2017.11.25第1刷発行)の序章に「そうじゃ、日吉。同じ〝生きる〝なら、〝活きる〝でないと駄目なのじゃ」という弥右衛門のセリフがある。(※弥右衛門とは日吉の父、日吉とは後の豊臣秀吉のこと。☜陰陽師注釈)「つまり、同じ〝いきる〝でも全然違う。ただ鍬を振るにしても、土のことを考えずに耕すのと、土のことを考えてやるのとでは、秋の実りが全然ちがうようにな」「つまり、たくさん考えて、他人に気配りして、一生懸命働くのが、活きるとゆうことだ」と続く。(本書P6~7より引用)。この言葉を読んだ瞬間にハンマーで頭を殴られたような気がした。確かに・・・畑仕事、勉強、何気ない日常生活をただただ淡々とこなすのと、あれやこれやと一生懸命に考えて工夫するのとでは結果は大きく違ってくる。先に「日常生活」と書いたけれど、「生活」という熟語は「似たような意味の組み合わせ」。厳密にいうと「生」は「生存する場合においてオールマイティー」に使うことができる。それに対して「活」は「単に生きるのではなく、影響を及ぼしながら生きる」「有効に働く」という場合にのみ使われるそうだ。ちなみに「活」という文字には、本来「カツ」という読み方しかない。常用漢字でないとはいえ、日本人なら誰でも書いた覚えのある「活(い)かす」という文字、「素材を生かした料理」VS「素材を活かした料理」とあったら「素材を活かした」の方がなじみがあるだろうし、実際に「影響を与える」という意味を持つ「活かした」の方が良いだろう。そんなこんなで日常的に使うのは全く問題ないけれど公用文などでは基本的には使用しないよう注意が必要である。話を戻して、勉強に関して言うならば「させられている」「仕方なく」「試験があるから」という理由で取り組むのと「今、習っていることを今後に活(い)かすぞ~」という意気込みでするのとでは結果は‥‥言うまでもない。ましてや国語は今後生きていくうえで切っても切り離せない必要な教養を学ぶべき学問。正直言って仕事柄、ついつい見る目が厳しくなってしまい「ああ、この人はもっと国語を勉強しておけばよかったのに・・・」などと思うこともちらほら。それは自分に対しても同様、だからこそ常に見たり聞いたりする物事、出来事を今後「活かせないか?活かそう」と必死である。それゆえ、リラックスのつもりで読書を始めるのだけどあちこちで足踏みしてしまったり、ブログネタとして使えないか?活かせないか?と常にアンテナを張っている。「生きる」「活きる」ともに大切だけど、特に「活きる」を意識したいもの。

2017/12/06 03:01

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