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小さな国語塾のつぶやき

文学が寄り添ってくれる

なぜ文学は廃れないか?なぜ読書をするのか?この問いに関して明確な答えはなく、人それぞれ意見が違う。一般的には①教養を身につけることが出来る②他者の人生を疑似体験することが出来る③②をすることによって想像力や道徳観を学ぶ・・・この3点が答えとなるのだろうけれど、それでもいまいちピンとこなかった。昨日、ようやく「なるほど~」と胸にストンと落ちる表現を見つけて、とってもとっても嬉しい気分!それは次の言葉。「駄目な人、弱い人、懲りない人。そんな人を切り捨てるのは、たやすいことです。でも、あなたもうすうす気づいているように、文学はそういう人たちに寄り添うためにある。」(2017.10.8朝日新聞 斎藤環氏が相談者への回答として寄せた文より抜粋)。なるほどなああ~とようやくようやく長年胸につかえていたものが取れたという感じ。斎藤氏は精神科医でもあり批評家でもあり、分かりやすく優しく、まさに目の前の読者に寄り添ったような文章を書いていらっしゃることにも感動した。さて、人間は誰もが弱さを持ち合わせている、外部から見ると強く見えるタイプでも必ず内側には弱さ、駄目な部分はある。文学はその弱さなどに寄り添ってくれるというのだ。確かに文学は静かにそっとそばにいてくれ、文字や内容が内面を癒してくれる。また、駄目な人、弱い人、懲りない人をさっさと切ること自体は簡単でも(メール一本で「これからは連絡しないでください」で縁を切ろうと思えば切れるから)、切った後に切った側になんだかモヤモヤしたものが残るもの。それを分かっているからこそスパッと切れないとウジウジと悩むのが人間で、そんな時にもやはり文学はそっとそっと寄り添ってくれる・・・。自分の弱さに気が付いたときに、何気に開いた一ページに今の自分に必要なことが書かれていたりもする。いつもなら全く気にも留めずに読み飛ばすような言葉だったとしても、時と場合によって必要に応じてちゃーんと文学が教えてくれるような気がする。先日ノーベル文学賞が発表され、り翻訳本がすでに存在するという恵まれた状況、読書の秋を満喫しようっと。

2017/10/09 16:00

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