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小さな国語塾のつぶやき

悪事千里を走る

「悪事千里を走る」という諺がある。意味は「悪い行いについての情報はとても早く、広く伝わるということ。だから悪事を働いてはいけないとい。」という教訓。唐末から北栄初の人孫光憲が唐末から五代にかけての著名人の逸話を集めた「北夢瑣言(ほくぼうさげん)」の「講じ好事不出門、悪事行千里(こうじもんをいでず、あくじせんりをゆく)」より。一里とは距離の単位で、約3.9キロメートルなので千里とはおよそ3900キロメートルのこと。遠い昔ですらこういうことを知っており、戒めとして伝えていた。ましてやSNSなどが発達している現在にはぴったりの諺で、言い得て妙だとつくづく感じる。さて、この諺は語源は「行く」だったが「走る」に言い換えられているところも個人的にはお気に入り。なぜなら「走る」の方が伝わるスピード感をより的確に表しているからで、もしもこれが「飛ぶ」ならば速さに関してはぴったりだが「出発地点から目的地へ一瞬で行く」というイメージになってしまい(個人的には)「走る」という擬人法が効いていると感じている。さて、この諺を最初に知ったのはおそらく小学生低学年の頃だったと思う。当時は「悪事」という抽象的な言葉を言われてもあまりピンとこず、ただ「悪い」≒「黒い生き物」(ムーミンに登場するスティンキーのイメージ)がサーッと逃げるようにして走るという感覚でとらえていた。当たらずとも遠からず?むろん今では初めての言葉に出会ったときにすぐに正しい意味を解釈できるけれど、幼い頃はそれは無理。そんな時に分かりやすい言葉で表現されているとイメージとしてなんとなくの意味をつかみやすい。そんなことからも「悪事千里を走る」をはじめとした古来から伝わる諺や慣用句というものは、短い表現で本質を分かりやすく説明しているので、次世代にも長く伝えたいなあとつくづく感じる。

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2017/08/23 12:08

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