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小さな国語塾のつぶやき

「天晴れ(あっぱれ)」

「天晴(あっぱれ)」という言葉を知っているだろうか?時代劇通にとっては「当然でしょ」と思われる言葉で、その昔、ちょっと頭の弱い殿様が臣下の無鉄砲な働きを「あっぱれ、剛の者であるぞ」などとほめるのに使う。つまり「あっぱれ」とは「すばらしい!」「みごと!」など、賞賛や感動を表す言葉。とはいえ、元々は「あっぱれ」は嬉しいにつけ悲しいにつけ感動を表す「あわれ(あはれ、哀れ)」が促音化した言葉で、「あはれ」は感動したとき自然に発せられる「ああ」という感動詞が変化したもの。敵の首を切り取って持ってきた武将を誉めるのに「あはれである」ではまるで力が入らないので力強く促音化したものと考えられ、すでに平家物語などに見える言葉である。つまり「敵ながらあっぱれ」という表現をするが、単にその武勇を称えるだけでなく死んでしまったことを悲しむ、そんな意味も込められていたようで、それが時代と共に完全に二つに分かれていったらしい。つまりは最近の若者言葉である「ヤバい」の逆バージョンと言えるか。先日ラジオでも話したが「ヤバい」は元々は「良くない」意味で使われていたが、最近は良い意味でも使い、良きにつけ悪きにつけ「程度がはなはだしい」「とても」という意味になっている。たまたま本を読んでいるときに「天晴れ(あっぱれ)」という言葉を見つけたので気になって調べてみた次第だ。「あっぱれ」は平仮名表記だと長年思っており、まさか漢字があったとは!何か意味があるの?と思いきや「天晴れ」は単なる当て字だとか。たとえ当て字であったとしても「お天道様(太陽)がニコニコと晴れやかな顔」をして誉めてくれているようで、字を見ただけでなんだかワクワクする。「天晴れ(あっぱれ)」はある意味上から目線の誉め言葉だが、お天道様に認めてもらい誉めてもらっていると思うとなんだか嬉しいもの。「おおっ、天晴れ」と自分で自分に言えるように一年の後半を過ごしていきたいものだ。

2017/07/05 03:09

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