めむろ国語専門塾
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小さな国語塾のつぶやき
「かわいそう」だけで書ける?
「読書感想文のための本に子供が付箋を貼ったんですが、ご覧になりましたか?付箋を貼ったのはいいのですが、どのページも『かわいそう』というメモばかり・・・。これでいいんでしょうか?」と子供さんをお迎えにいらっしゃった保護者から声をかけられた。授業中に生徒が板書したものを写している合間にさっと目を通していたので、迷わず「何の問題もないです!問題どころか、正直な、正しいコメントだと思います」とお答えした。小学高学年の生徒が読書感想文の題材として選んだ本の内容は・・・、主人公の祖父が認知症になっていくというもの。読み進めば進むほど深刻な場面がたくさん出てきて、小学生にとっては初めて知るような内容ばかりで「え…そんな…かわいそう」と感じるのは当然だ。保護者としても自分の子供が抱く感情を否定しているわけではなく、むしろ肯定なさっているのだが、「かわいそう」というコメントばかりだと読書感想文を書けないのでは?と心配なさっているのだ。でも心配ご無用。例えば「かわいそう」という気持ちはどの程度なのか?「涙が出るぐらい」「信じられないぐらい」といった風に細かく掘り下げていき、さらには自分が主人公だったら・・・と広げていけばいいからだ。つまり「かわいそう」という気持ちを軸にしてどんどん発想を広げることが出来る。また、その本から「初めて知る」ことも多いだろうから、本を通じて学んだことなども少しずつメモしていき最後にまとめればよい。ところで、プロの画家ではなく一般の人々がクレヨンでイチゴ🍓を描くとしたら迷わず赤色をメインで使うだろう。少し絵心がある人だと赤は赤でも濃い部分、薄い部分、さらにはヘタに近い部分は白っぽくして着色する。ある意味、それと同じ作業をする。本全体の感想は「かわいそう」(メインの色)だとしたら、そこから感じたことの度合いを書き分けたり(濃淡をつける)、枝分かれしていけばよい(違う色を少し足す)。難しいテーマの本に挑戦しようとしている生徒は毎年じっくりと感想文を書き、連続入賞している強者。今年はどんな素晴らしい作品を書き上げるか、その過程において少しばかりお手伝いすることが今から楽しみだ。
2017/06/22 03:52
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