めむろ国語専門塾
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小さな国語塾のつぶやき
語学の天才
国語のテキストやテストによく用いられる文章として、金田一春彦先生の「日本語を反省してみませんか」がある。有名な一部を紹介する。「日本では、共通語と方言の違いが相当激しい。これがヨーロッパあたりへ行くと、スペイン語とポルトガル語の違いは、青森県の言葉と福島県の言葉ぐらいの違いしかない。(中略)青森県の言葉と共通語が話せるということは、もっと違った言葉を使い分けることができることなのである。よく日本人は語学が下手だと言われるが、大間違いで、日本人のほうが語学の天才かもしれない。」これを何年も前に読んだときは「ふーん、そうなんだ」ぐらいにしか思わなかったのだが、確かに共通語と方言がいかに違うかを最近になって改めて実感した。さて、方言の特徴としては大きく分けて二通りあると思う。一つ目は文末とイントネーションが共通語と違うだけ。二つ目は全く独自の言葉が方言として存在すること。前者はコミュニケーションをとる人間同士がそれぞれ別々の地方出身だったとしてもさほど問題なく意思疎通ができるが、後者は正直言って難しい。さて北海道弁で「なまら」という言葉があり、意味は「とても、非常に」となるのだが・・・、長年勝手に「なまじ」と同じだと思い込んでいた。「なまじ」は日本古来からある言葉で「生強いる」から派生した言葉、読んで字のごとく「中途半端なさま、無理にしようとする。あることを仮定して、それをしないほうがむしろ良いという意味」となる。今までは「なまら」をこの意味で訳してもさほど問題がなかったのだが、最近「なまら」を「なまじ」の訳を当てはめるとどうしても意味が通じない場合が生じたので、調べてみたら全く意味が違っていた。まだまだ道産子には遠い自分である。ふーっ。英語でも国語でもわからない言葉は前後から判断して文章を読むことは大切だが、時にはきちんと意味を調べることも大切だなあと感じる。いやはや、方言と共通語両方をつかいこなせる日本人は間違いなく語学の天才だろう。
2017/06/05 13:57
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