めむろ国語専門塾
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小さな国語塾のつぶやき
五月雨の 降り残してや 光堂
昨日、今日は修学旅行に行っていた中学生たちが帰北する予定だ。十勝管内の中学生たちは4月に修学旅行の予定で、行先は東京か東北地方だとか。行先は学校によって違い、個々人によっても行きたい場所は違うだろうが、今の自分自身としては断然「東北に行きたい!」派である。なぜなら松尾芭蕉の「五月雨の 降り残してや 光堂(さみだれの ふりのこしてや ひかりどう)」という俳句を好きだから。例年、修学旅行で中学生たちは岩手県平泉にある中尊寺を訪れており、今年も中尊寺を訪れ座禅経験までする(している)予定らしい。光堂とは金色堂のことで、あらゆるものを朽ち果てさせる五月雨も光堂にだけは雨を降らせず残してくれたかのように500年経っても光堂は色あせずに美しいままだ、と詠んだものだ。ではなぜこの句をこよなく愛しているか?と聞かれるとズバリ!この句には芭蕉の感じた事や言いたかったことを自由に想像する余地があるから。実は芭蕉がこの句を詠んだ日は「晴れ」ておりしかも金色堂は光るどころか朽ち果てていたという記録が残っている。ということは先の句はいわゆるフィクションということになる。写真はありのままそのままを記録として残し、見る側としては安心して鑑賞できる、それに対して俳句や短歌や短い言葉から作者の想いや情景を想像しなくてはならない。だからこそ試験問題で出されると苦心するわけで、自分が現役中学生の頃は俳句や短歌は苦手であったが、テスト云々から離れ、長年様々な経験をしてきた今は短歌や俳句からしみじみと作者の想いをかみしめ、自由に情景を想像するのが楽しい。東北はもちろんのこと平泉には一度も行ったことがなく、生きているうちに必ず行ってみようと思っているがまずは生徒達からの修学旅行の思い出を聞くことによって想像を膨らませるのが楽しみである。
2017/04/22 13:58
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