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小さな国語塾のつぶやき

ぼたもち

昨日3月20日は春分の日だった・・・。幼い頃は母親が行事の度に色々と準備をしてくれていたものだが、最近は後になってから「あ、今日は○○の日だった」ということがしばしばで少々反省。正直言って春分の日の時期に食べるとされる「ぼたもち」はあまり好きではないから忘れてしまう・・・。春分の日を境にして前後7日をお彼岸といい、お彼岸に欠かせないのが御先祖様のお墓参りや供養、食べ物で言えば「ぼたもち」。個人的には苦手な食べ物だが、昔の人、特にお寺で修行をしている小僧さんにとっては甘くてカロリーがたっぷりの「ぼたもち」はごちそうだったに違いない。宇治拾遺物語に「稚児のそら寝」という有名な話がある。和尚さん達が「ぼたもちを作ろう」と話し合っているのを聞いた小僧さん、楽しみにしながらも出来上がるまで起きておくのも変だと思い、寝たふりをする。ぼたもちが出来上がった時に和尚さんが稚児を起こそうとするのだが、一回で返事すると「待っていた」と思われるのも・・・と寝たふりをしたところ、折角寝ているのだから起こすのはかわいそうだとのことで稚児を起こさない。和尚さん達がぼたもちを食べ始める音だけが響き、我慢できなくなった稚児は呼ばれてからかなり時間がたってから「はい」と返事をし、皆でおかしく笑ったという話で、相手が稚児だから和尚さん達は「可愛いなあ」と微笑ましく笑ってくれた。が、これはある意味大人の場合だと・・・・そもそもが時間を経ってから「ハイ」とは言い出せない、仮に後から「ハイ」といったところで誰も笑ってくれないだろうと想像するとぞっとする。何が言いたいか?遠慮することは美徳とされているが、遠慮し過ぎるよりも素直に本音で(ただし限度はあるが)生きた方が本人にとっても周囲にとってもやりやすいのではないかということ。この、限度といったバランスが難しいのだが。ふとお彼岸≒「ぼたもち」から説話を思い出し、そこからふとそんなことを考えた春の一日であった。

2017/03/21 00:00

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