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小さな国語塾のつぶやき

視察に具す

内装業を営んでいる知人は、家族で外食するときにメニューではなく、まずは店内の内装を見て「ああだこうだ」と言うため周囲から「食べに来てるのに・・・」と呆れられるそうだ。いわゆる職業病というもので、かくいう自分も文章の内容よりも漢字に目がいってしまうことがしばしば。昨日、歴史の本をパラパラと読んでいた時に思わず「あれ?岩倉具視(いわくらともみ)って本名?それとも後から付けたペンネーム?これってすごくない?」と一人で大興奮してしまった。なぜなら「具視(ともみ)」という熟語にレ点をつけて意味を解釈すると「察するために具す(連れて行く)」となる。岩倉具視とは言わずもがな、岩倉使節団の正使。岩倉使節団は明治維新間もない明治4年(1871年)から6年(1873年)にかけて明治政府からアメリカ、ヨーロッパ諸国に派遣された。派遣の目的の一つに「西洋文明の視察、調査」があったそうだ。「具す」は古文で「連れて行く」という意味となり「具視」は先にも書いたようにレ点を付けて下から読んで解釈すると「視察するために連れて行く」となる。一瞬ペンネームかと思って調べてみるとそうではなく単なる偶然のようだ。岩倉具慶の養子になり、朝廷儒学者である伏原宣明によって「具視」と名前を選定されたらしい。おそらく「具慶」から一文字取って命名されたのだろう。名は体を現すと言うが、もしも「具視」ではない別の名前を付けられていたら岩倉使節団の正使になってなかったかも?と空想中。歴史に「もし~たら」はないのだが、空想は自由!

2017/03/14 02:29

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