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小さな国語塾のつぶやき

自由な発想

国語の設問を解く時、「客観的に文章を読み、そこからヒントを探して解く。自分の考えは入れない事」と口酸っぱく生徒に言っているが、それは設問を解く時であって日常生活においては「自由な発想、視点」を常に持ち続けることは大切、要は時と場合によって切り替えが出来るのがベストか。さて、先週の中学生授業ではテストや入試でよく狙われる作品「十訓抄」の中の「蜂飼いの大臣」(今年の中三学力テストに出題された)を演習した。平安時代後期の公卿で藤原宗輔という人がおり、彼は太政大臣で別名〝蜂飼大臣(はちかいおとど)〟という異名を持っていたというところから物語が始まる。なぜ彼が〝蜂飼大臣〟なのか?実は彼は蜂を手なづけるという特技を持っており、それにまつわるエピソードが書かれた作品。一通り演習を終えた時に某生徒がポツリと一言「皆は宗輔に対して『無駄なことをしてる』とバカにするけれど、蜂って実はすごく役立つんですよね。植物が受粉するためには絶対に必要だし・・・蜂をバカにしてはいけないよ」と。蜂=蜂蜜のイメージが強いが、さすがは農業圏に住む生徒、蜂蜜採取以外でも農家さんにとって大切な役割をちゃーんと知ってるんだなあ、しかも蜂=怖い以外で冷静に判断するって偉いなあと感心した。演習後、同じく十訓抄に出てくる「蜂の報恩」について紹介したところ、別の生徒が「え~?恩返し?それって『鶴の恩返し』のパクリじゃないですか?」とバッサリ。彼は中一ということもあり、まだ数えるほどしか古文作品を解いたことがないのだが、鋭い指摘に思わずうなってしまった。説話は教訓的内容が多いため「恩返し系」が多数存在する事、具体的な作品などを紹介し、テキストにある「亀の恩返し」を演習(ちなみにこれも中三学力テストに出題された)。大人になると目の前のことを何の疑問も抱かずに黙々とこなすことが当たり前になりがちだが、ちょっとした「気づき」「発見」「発想」を持っている若い感性を見習いたいと思い、彼らには今のままの自由な発想、視点を持ち続けてほしいと願う出来事であった。

2017/01/10 09:09

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