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小さな国語塾のつぶやき

曖昧さ

お正月休みを利用して古典「雨月物語」を読み返してみた。「雨月物語」とは江戸時代、上田秋成によって書かれた怪異小説集の読み本。その書名の由来は、序文にもある「雨霽月朦朧之夜」で九篇の小説から成る短編集。怪奇物ととはいえ単に「怖い」「おどろおどろしい」わけではなく、人情あふれ、時には涙する(「菊花の契り」を読むたびに泣いてしまう)ような優れた作品ばかり。原文や、現代語でも文字だけのは苦手という場合は学習漫画(くもん出版、中公文庫がお勧め)をぜひ読んでみることをお勧めする。さて、この作品の優れている点は中身の作品のみならず、題名もだ!と勝手に思っている。もしも「怪奇小説」「怪談」という題名にするとそれだけで拒否反応を示し、折角の名作を読むチャンスを奪われるという人が続出するだろう。むろん「雨月物語?何かロマンチックな話?」と手に取ってがっくり・・・と途中でバタンと言う人もいるかもしれないが、それはそれでOKだろう。何が言いたいか?日本人は今も昔も「曖昧さ」を重んじる文化があり、それを批判する専門家が多く存在するが、少なくとも本の題名においては「曖昧さ」は必要だと感じる事。曖昧な題名によってさまざまなイメージが膨らみ、小説を読み終えた時に、成程・・・と余韻に浸ることも出来るから。どんな場合でも曖昧がいいかというとそうではなく、人と人との対話、特にビジネスにおける対話では「曖昧さ」は絶対避けるべきだと思っている。その辺りの区別をしっかりとしたうえで、日本人独特の「曖昧さ」を引き継いでいきたいと思う今日この頃。ちなみに、自身の教室は明確に「国語専門塾」と名付けているにもかかわらず「数学は教えないんですか?」と何軒か問い合わせをいただく(苦笑)。これに関しては如何ともしがたい・・・。

2017/01/03 00:11

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