めむろ国語専門塾
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小さな国語塾のつぶやき
とり
今年は「酉(とり)」年だが、「鶏」「鳥」とは書かず「酉」という漢字を使う。実は「酉」の元々の意味は、口の細い酒つぼであり、お酒は熟した果物から作られることから「実る」という意味もあるそうだ。どうしてこれを「とり」と読むようになったか諸説があるものの、どうやら単なる当て字らしい。さて、当て字と言えば「主任」と書いて「トリ」と読ませる言葉もある。寄席で最後に出演する人を言う寄席用語で、語源は「取り」で、最後の演者がギャラをまとめて受け取り出演する芸人達に分配することから生まれた言葉である。現在ではギャラの受け取りに関係なく言い寄席以外でも用いられている。日本語の漢字や熟語に当て字がしばしば用いられるため難しいと言えば難しいが、言葉の響きから様々な想像が出来るのが興味深い。一言で「とり」と言っても空を飛ぶ鳥、取り、トリ(最後のまとめ役)などなどいろいろな意味を連想でき、どの言葉からも前向きなイメージが膨らむ。良いこと、素晴らしいことを貪欲に自分に取り込んで成長し、実りのある年にしたいもの。むろん不要、不快なものは取り除くことを忘れずに。何か新しいものを取り込むためには古くて不必要なものを取り除いてスペースを作る必要があるから。
2017/01/02 00:45
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