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小さな国語塾のつぶやき

仮名の効用

「クリぼっち」という言葉を先日、初めて知った。見た瞬間にすぐに分かったが・・・意味は、クリスマスを1人で過ごす事を表現した用語。 クリスマスの「クリ」に、ひとりぼっち(一人ぼっち)の「ぼっち」が語源になっているそうだ。まるでクリスマスを一人で過ごすのが良くない、一人で過ごすのはさみしいと言わんばかりの風潮が何年も前からあるが、この言葉だけを見るとさほど悲壮感や良くないイメージは湧かない。それは「クリぼっち」がカタカナ+平仮名だからだろう。これが「クリ孤独」なんて表現になるとなんだか悲壮感がヒシヒシと伝わってくるようだ。さて、平安時代に紀貫之が女性が書いたようなふりをして「土佐日記」を著した。「男もすなる日記といふものを、女もしてみむとて、するなり。」この一文から始まる作品の叙述の主体は実作者の貫之ではなく、ある「女」という体裁をとっている。「男も書くとかいう日記というものを、女である私も書いてみようと思って書くのだ。」と宣言することによって、書いたのはあくまで一人の女性なのだと思わせようとしており、それはなぜか?ということには諸説がある。多くの諸説の中で有力なのが次の説。「私的感情を日記に書き綴るのは、公的立場の男性には許されず、赴任地の土佐で亡くした娘を悼む母性心理に通じる心情を書き綴るのにふさわしい主体は女性であり、ふさわしい文体が仮名・和文体であった。」現代でも、敢えて平仮名やカタカナの多用で作品全体に優しさや柔らかさを持たせることがある。漢字を知らない・・・のではなく、わざと文体や書体を選んで書く意識することは素敵だなあと思う今日この頃。学生時代は、偉そうにわざと難解な漢字を多用していた自分自身、最近はひらがなやカタカナの良さを少し理解出来た?が、まだまだ昔の癖は抜けそうにない。

2016/12/27 00:30

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