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小さな国語塾のつぶやき

俗世間を離れるとは・・・

古文作品では「出家(俗世間を離れて仏門に入り、専一に修行の道に励むこと)」という場面が多く出てくる。例えば、中学2年生で学ぶ「平家物語」の「敦盛の最期」では直実が武士という身分に嫌気がさし、敦盛を弔うために出家することを決意する。また、鴨長明は出世や普通の人生を希望していたが、上手く世渡りができず50代ごろに俗世間に見切りを付け、辺一丈の簡素な庵に住み「方丈記」を書いた。そんなこんなで「俗世間を離れる」=「俗世間に嫌気がさして、渋々」「絶望的な」といった暗いイメージが付きまとう。とはいえ、100パーセントネガティブな要素ばかりかというとそうとは言えない。例えば、現代において学校中退という言葉はなんとなく「負」のイメージの方が大きいが、希望に燃えて中退するという人も少なからずいるはず。学校教育よりも別の大切なことを見つけたため、人生や時間を無駄にしないために前向きに学校中退と言う道を選ぶこともあるだろう。それと同様で、「出家」=「暗い」「負」のイメージがあるが、本当にそうなのかどうかは文章を読んでから判断すべき。今週、授業で取り上げた「石に漱ぎ流れに枕す」の古文作品には現代語訳が記載されており、そこには「俗世間を離れようという希望を持っていた」とあるため、「石に枕し・・・」は「自然の中に住んで、自由に気ままに暮らすこと」が選択肢の答えになるのだが、大半の生徒は「貧しく切り詰めながら暮らす」「目的を果たすために苦しさに耐えて暮らす」を選んでしまった。現代文、古文に限らず、いわゆる「常識」に惑わされず文章からきちんと判断することが大切!

2016/12/17 00:24

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