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小さな国語塾のつぶやき

門を叩く

塾用の物品を購入し領収書を書いてもらおうとすると、ほぼ100パーセント「専門塾の門って口いりますか?」と聞かれる。答えるたびに「弟子入りするという意味で『門を叩く』という表現があるよね~」と心の中で毎回つぶやいている。さて「推敲(すいこう)」【意味】詩や文章の表現を何度も練り直すこと、も「門を叩く」という表現が採用されている。唐の詩人、賈島が「鳥は宿る池中の樹、僧は敲く月下の門(鳥は池中の小島の樹の上に宿っている、一人の僧がやって来て月に照らされた門を叩いている)」という自作の詩において「敲く(たたく)」にすべきか「推す(おす)」にすべきかを馬に乗りながら思い悩んでいると、韓愈の行列にぶつかり捕らえられてしまった。
賈島がわけを話すと、韓愈は「敲くにしたほうがよい」と助言し、二人は馬を並べて詩について語り合ったという故事に基づく。【出典『唐詩紀事』】「推敲」の元となった詩では「弟子入りする」という意味ではなく単純に門を叩くわけだが、あまりにも「門」と「問」の区別が出来ないまま大人になった人が多いという現実を目の当たりにすると、生徒たちには先の「門を叩く(弟子入りする)」や「推敲」の由来などを紹介することによってエピソード記憶として定着させようと思う今日この頃。

2016/12/07 01:22

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