めむろ国語専門塾
- ブログ
小さな国語塾のつぶやき
敬語と敬意
十勝地方の中学校では、中学2年生は「敬語」「古文(敦盛の最期など)」をこの時期に学習する。そのためか、混乱を生じてしまった某生徒。そもそも「敬語」は相手を高めるための表現で、目上の人などに使うと習うが・・・、注意しなくてはならないのは「敬語」と「敬意」は別物だということ。極端な話、相手のことを尊敬していなくても立場上「敬語」は使わなくてはならない。逆に相手に敬意を払っていても立場上「敬語」を使わない(使えない)場合もしばしば。さて、話を戻すが古文「敦盛の最期」において「なぜ直実は敦盛の首を取りたくなかったか?」という問に対しての答えは①自分の息子と同じぐらいの年齢なので、かわいそうになったから②敵一人の首で戦の勝敗が変わるわけではないと思ったから、という二点が答えになるのだが(本文にも書いてある)・・・。某生徒は①と、ひっかけの答えの「目の前の少年がひ弱に思えたから」を選択。本文には「あっぱれ大将軍!・・・」とあり、ひ弱どころか「なんと立派な大将軍だ」と年下(おそらく体格も自分よりも小さい)相手(敦盛)の堂々たる態度に対して敬意を払っているのだ。中学2年生にとって年下に敬意を払うとはピンと来ないかもしれず、ましてや年上や目上の人には「敬語」を使うと習ったばかりなので、どうしても敦盛と直実の立場というものが腑に落ちないようだ。あらゆる面から「敦盛の最期」は中学生にとって難しい内容だと思うし、自分自身も昔は「平家物語=難しい⇒嫌い」だったが、年齢を重ねると理解できる部分が多く、今は嫌いどころかむしろ大好きで読むたびに涙している。敬語や平家物語は中学生にとっては鬼門だが、何年か先には腑に落ちる日が来ると信じて今は「忍」か。
2016/11/21 13:53
-
-
コメントするには会員登録後、ログインが必要です