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小さな国語塾のつぶやき

武士が重んじるもの

何十年も変わらず、中学2年生の教科書には必ず「敦盛の最期」(平家物語)が載っており、中学生はそれを学ぶ。平家物語は和漢混交文のため文体が難しいのみならず、武士道を知っておかないと内容を理解するのは難しい。一言で言うと、武士は「名誉」「面目」「気位」を重んじるということをしっかりと念頭に入れておく必要がある。敦盛が直実に「なんじはたそ(あなたは誰だ)?」と聞かれた時に名乗らないという場面がある。名乗らないが、相手(直実)にとっては申し分のない敵(首を取ると手柄になる)ので早く首をとれ!と言う。ワークや問題集では「なぜ名前を名乗らないのか?」という問がある。「自分は身分が高いので、自分よりも低い身分であろう相手には名乗る必要がない」が答えになるのだが、先に書いたように「武士は名誉を重んじる」ことを理解しておかないと、年下である敦盛が直実に対して名乗らないのではなく、畏れ多くて名乗れない…と言った別の答えを選択してしまうことになる。授業では武士が「名誉」「面目」「気位」を重んじることが、「武士は食わねど高楊枝」「武士に二言はない」といった諺や、菊花の契り(雨月物語・・・兄弟の契りをかわした弟との再会の日時を守るため、自害し魂となって飛んで帰ってくる話。魂となったら一日で千里を移動できることから)に通じるということを詳しく解説。自分の主観で考えず、きちんとした知識や時代背景を学ぶことが古典では大切。

2016/11/19 03:45

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