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小さな国語塾のつぶやき

鶏冠に来る

先日「鶏頭」について調べている過程で「鶏冠に来る」という言葉を見つけた。腹立たしく感じカッとなることを「頭に来る」というが「鶏冠に来る」とは、この「頭に来る」を強めた言葉であるらしい。鶏冠とは鶏の頭にある赤い部分のことだが、カッときて頭に血が上った様を鶏冠に例えて出来た言葉と思われ、1960年代前後の映画『お姐ちゃんシリーズ』の中で中島そのみが使ったことから流行った言葉である。成程、怒りの炎の色や様子がまさに鶏冠のようである。さて、世の中には時々、あらゆることに対して怒っている人がいる。ポストが赤いのも空が青いのもすべて「周囲の人が悪い」という勢いで口を開けば物事の批判のオンパレードのようなタイプ。そういう人とはとにかく話が平行線(一方的に相手がしゃべっている)がどう相槌を打っていいか分からず、とにかく疲れる。でも、この言葉を知ったおかげで今後はあらゆることに対して怒りを抱いている人を目の前にしたら、相手の頭の上に「ああ、今鶏冠が出ている・・・」と鶏冠を乗せた場面を想像して自分の意識を相手の言葉から逸らそう!という妙案が浮んだ。言葉は時に相手を傷つける道具となるが、同時に的を射た言い回しは想像力をかきたて、相手からの言葉の攻撃へのクッションになるなあと不謹慎なことを考えている秋の日々。

2016/10/28 12:02

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