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小さな国語塾のつぶやき

野分

台風が近づいているようだが、あまりの強風大雨にならないよう祈るばかり。さて、秋の際に吹く疾風が野の草を吹いて分けるところから、日本では台風のことを古くから野分(のわき、のわけ)といっていた。10世紀末に書かれた「枕草子」の200段には「野分きのまたの日こそ、いみじうあはれに をかしけれ」(野分きの吹いた翌日の様子は、たいそうじみじみとして風情がある)という文章がある。今のイメージでは、台風の跡は様々な被害の爪あとが残されていて風情があるとは思えないが、当時は自然と共生していた暮らしをしていたので台風一過の清々しさのほうを感じ、それを愛でていたのかも知れない。と、ここまで書いて、ふと若い頃のとんでもない行動を思い出した。友人とおしゃれなフランス料理を楽しもうと、レストランを予約していたのだが生憎その日は激しい台風。にもかかわらず当初の予定通りレストランに行き、いざ!料理を食べようとした瞬間に停電。ろうそくの光を頼りに食事をし「ロマンチックだね~」などと暢気な発言をしてお店の方にムッとされたことが。帰りは電車が止まってしまうかも?という危機に見舞われながら、なんとか帰宅。当時はキャンセルすると店に迷惑がかかると思い込んでいたが、店側としてはさっさとその日は店じまいしたかっただろうなああ・・・と今更ながらに若気の至りを反省しかり。無事に野分が過ぎますように。

2016/08/17 03:10

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