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小さな国語塾のつぶやき

殺し文句

「悪(ワル)の殺し文句」(向谷匡史著)という新刊文庫を最近面白く読んでいる。読み進めていくうちに「あるある~~、昔、上司がまさにこの殺し文句を使って部下たちを手なずけてたんだよね~~~」という場面が多く、笑えるというか懐かしいというか。「殺し文句を使う人間が優れた演技力を持っていればいる程、騙されるんだよね~」と楽しく読んでいる。と同時に改めて気付いたことがある。それは、「書く力」と「話す力」は全く別物だということ。意見文などでは「相手を説得させるため」に論理的に書く必要があるが、日常会話において何でもかんでも「論理的に」すると「空気を読め」「鬱陶しい」となる。例えば、「僕の理想の女性は優しくて気立てが良くて背が低い、ぽっちゃり形の女性です。そして目の前にいる貴女はとても親切で、身長が成人女性の平均身長より2センチ低い、その身長に対して体重はおそらく○キロぐらいで・・・つまりBMIは標準値より上で、まさに僕の理想で・・・」などと口走ろうものなら最後まで言い終わらないうちに女性に思い切り嫌われるのがオチ。また、話す時は目の前に人がいるので「主語」「述語」といった文の組み立てはあまり意識しなくても意思疎通が出来るが、書くとなると、文の組み立てを意識しないことには相手に伝わらない。では、どちらが難しいか?個人的には「話す」方が難しい。なぜなら「書く」ことは時間をかけて推敲、書き直しが出来るが「話す」ことは一度口に出してしまったら修正が出来ない、言葉を一生懸命選びすぎると沈黙が続き場の雰囲気が悪くなることもあり・・・・。気の利いた「殺し文句」を言えるようになりたいものだ。(ちなみに今回の本を実行することはかなりの難関、逆に相手の手口を知るおかげで騙されないようにという心構えが出来た。)

2016/07/06 12:12

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