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小さな国語塾のつぶやき

「言挙げ」

「言挙げ(ことあげ)」思想を皆は知っているだろうか?「言霊(ことだま)」と並んで、古代の日本人が言葉の力を恐れ敬った証拠、考え方が「言挙げ」思想。「言霊」は「私たちが口にした言葉には魂が宿っており、口にした通りのことを実現する力を持っている」という考え方。それゆえに、平安時代ではむやみに人の名前を口に出したり書いたりしてはならないという風潮があった☞古典では主語が省略される…ということは以前にブログで紹介した通り。さて、「言挙げ」は「言霊」ほどには知られていない考え方で「自分の意思をはっきりと声に出して示すこと。ところが、その言葉に誤りやおごりがある時は、悪い結果がもたらされる」意味のため、使うことをためらい、あまり浸透していない。古代の日本人は、個人が「ことあげ」をすることは神の意思を超えることであり、それは許されないと感じていたようだ。世界各国の人から「日本人は自分の考えをはっきりと言わない」と批判されるが、それは決して消極的な態度の表れではなく、言葉を大切にしている日本人独特の「謙虚さ」だと思う。とはいえ「言挙げ」を気にするあまり言いたいことを口にしないというのはもったいないこと。何事も言ってみないと伝わらない、例えば高級レストランに行ってオーダーしたいお料理をじっと念じたところでお皿が出てくるわけではない。きちんと口に出さないことには好きなものを食べることが出来ない、店員さんから「え?この人がこんな高いワインを?」と思われることなんて気にしてはいけない、今はふさわしくなくてもいずれ高級食材に見合うように成長すれば「言挙げ」ではなく「言霊」になるのだから。

2016/05/23 13:28

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