小さな国語塾のつぶやき
読み手との会話
魅力的な文章、読みたくなるような文章には共通点がある。それは「次々に先を読みたくなる文章、言い変えると読み手の期待に応えてくれる文、読み手と対話が成立する文章」と言える。単純に文が箇条書きのように並んでおり、別々の内容がバラバラに書いてあったとしたら…読み手はもう投げ出してしまう(←ビジネス文書ではなく、あくまで長文としての読み物の場合)。文と文の間には、読み手から予想される質問が隠れている。(例)メロスは激怒した。(え?いきなり何を怒ってるの?)かならず、かの邪智暴虐の王をのぞかなければならぬと決意した。(え?メロスって一体何者?)メロスには政治がわからぬ。メロスは村の牧人である。笛を吹き、羊と遊んで暮らしていた。けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。(成程そういうことなんだ・・・。それにしても王様が何をしたのだろう?)※本文は太宰治著「走れメロス」より、( )は想定されるであろう読み手の質問。思い起こしてほしい。本屋さんや図書館で本を手に取ったときに、当然全頁を読めるわけではなくパラパラと何ページか拾い読みをして、続きを読みたいと思った時にそれを買ったり借りたりする。本を手に取って選ぶことこそが、実際に本屋さんや図書館で本を手に入れる楽しみ。さて、逆に言うと自分の文章を読み手に飽きられないためには・・・「もっと読みたい」と思わせるような文章を書くことが大切になってくる。
2016/01/20 12:38
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